知ればもっとお茶が美味しくなる。

お茶

黒い布の下に緑色の寧「かぶせ茶」

かぶせ茶は、被覆栽培と呼ばれる栽培方法で作られます。被覆とは、その字の通り「覆い被せる」ことですね。
茶葉を摘み採る前に、寒冷紗と呼ばれる布で覆い被せることによって日光が遮られ、その結果、お茶の中の旨味の成分であるテアニンが、苦味渋味の成分であるカテキンに変化しにくくなるそうです。なので、苦味の抑えられた甘いお茶が出来上がるのです。ちなみに被せる期間は一週間から10日ほど。20日以上被せて作られるのが、玉露です。


和束町の山の急斜面に、お茶の緑の濃淡に加え、黒やグレーの寒冷紗が多く見られるようになると、まるでパッチワークのアートのような光景が見られます。普通に歩くことも大変な急斜面のお茶の畝を、一枚一枚手作業で、寒冷紗を被せる手間のかけよう。刈り取る前にはまた手作業で寒冷紗を外します。お茶の旨味を引き出すために、和束の茶農家さんたちはこの大変な作業も厭わないのです。

かぶせ茶は最初の一杯は湯さまししたぬるめのお湯で(50°Cから60°C)、玉露のような旨味甘味を味わい、そのあとは少しお湯の温度を上げて二煎目を淹れ(70°Cから80°C)、煎茶のような爽やかな渋味と苦味を味わいます。お茶に含まれる旨味、甘味、渋味、苦味のそれぞれを、お湯の温度を変えることで楽しめます。
覆いを被せることで、日光を遮られたお茶の葉には葉緑素がたくさん生成されるので、水色(すいしょく)は煎茶の黄色と比べて、青みがかった黄緑色です。

緑茶の持てる味の幅はこんなにもたくさんある!お湯の温度や抽出時間、茶葉の量を変えて、是非お好みの味を探してみてください。

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たなかみよこ

令和4年度より京都府和束町の地域おこし協力隊を務めています。和束町が大好きで、移住をしてきました。私がそうだったように「人生を変えるお茶との出会い」を演出できればと思います。

  1. 黒い布の下に緑色の寧「かぶせ茶」

  2. 茶農家インタビュー「淹れたて‼︎」VOL.13【和茶園】

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